直腸がんステージ1からの肺転移

2019年3月12日「CT検査の結果、肺に影が…」

2019年3月12日(火)

先週受けたCTの結果を聞きに、主治医の診察へと出向いた。久しぶりに会う先生の顔を見て、なんとなくホッとして嬉しくなる私。私は元気ですよー、と伝えるべく、わたしは笑顔だった。そしていつものように先生からも笑顔で「何もないですね、はい次は8月の検査…」と言われて5分で帰る。そんなつもりだった。

しかし。

他愛のないやりとりとりに続いて先生が突然発した言葉は…

 

「肺にちょっと怪しい影があるんだよね」

 

(え、肺に影… ドラマみたいなセリフですけど先生… 顔がまじですね…)

 

「えええ!!先生、まじですか!それって転移ってことですか?」

「えええ…いやだなぁ…」

 

先生は一言も転移とは言ってない。

 

でも私、

 

自分でここでいきなり転移という言葉を出しているよ…。ぜんっぜん想定外の展開なのに!転移なんて本当に本当に一ミリも予想していなかったのに!

ステージ1の私には無縁の言葉だと思っていたのに!

 

それを聞いた先生いわく、まだ転移であると決まったわけではないと。

良性の肉腫とか、炎症が起きているとか、そういうものである可能性もあると。

 

ではそれが悪性なのか何なのか、転移なのか違うのか。それらをどう判断するのか?!

私は割と冷静な頭で質問を重ねてゆく。このあたり、ほんと、記者気質がどうしても抜けないよ… 自分のことなのに、なんか、先生にインタビューをしている感覚。

 

先生いわく、あと3か月様子を見る必要がある、と。

3か月後の結果には3パターンが考えられる、と。

 

パターン1:3か月後に、影が大きくなっていたら、それはつまりがんが成長したということ。

がんの特徴は、増殖し、成長することにあるからね。

 

パターン2:がんでない場合、影が消えているかも知れない。今回と変わらないサイズで留まっているかもしれない。

 

パターン3:もしかしたら、今は一つしかない影が、複数に増えているかもしれない。それは転移が広がったということ。

 

このどれに該当するかで、治療方法は変わってくるという。

 

影が消えていたら、特に治療なしで、引き続き経過観察の身となり、

 

影が今より増えて散らばっていたら、それは手術では取り切れないことを意味するという。切り取っても増えていく性質の転移。キリがないから、抗がん剤で叩く治療法になるという。

 

今ある一個の影が大きくなり、かつ、一個をキープ出来ている場合は、肺のその箇所を切除する手術が可能だという。

次々に転移しないということが想定される場合、その手術は有効だという。

 

先生の説明はよくわかった。

 

けど、けど… あと3か月も待つの?!

転移しているかもしれないがんを体内に抱えて、3か月も待って大丈夫なの?

その間に増えるとか、大きくなるとか…それは想像するだけで怖いんですけど…

 

と正直に言うと、

今の段階でがんかどうかを調べる方法はなくもないけど、それは手術して肺を切って、肺の組織を取ることになるから、体への負担が大きいよと。

3か月で爆発的にがんが大きくなることはないから、待ちましょうと。

 

なんでも、病院の規定で、このようなケースは3か月様子を見てから手術するということに決まっているんだそうだ。かつては3か月も待たずに手術をしていた時代もあったようなのだが、結局、手術で腫瘍を切り取った後にまたすぐ転移がんが出て来て、切り取ることの効果がなかった=手術で体に負担をかけるだけ無駄であった…というケースが少なからずあったそうなのだ。

 

うんうん、それもわかる。手術って簡単に言うけど、本当に体が受けるダメージ大きいし、やはり、臓器を切り取られることってあとあといろんな影響もあるわけよ。がんを取るのは大事なことだけれど、手術はメリットばかりではない。それはわかってる。

 

だから、ここはおとなしく、3か月後のCTを待つしかないのである。私は納得できた。

 

それにしても、である。

夏の手術を受けてからまだ1年も経っていないのに転移ですか?

あの時の検査では、転移は見られなかったのに、今になって出てきてしまうんですか?

 

…出てきてしまうものなんですね、がんって。

 

あの時、リンパ廓清といって、転移の可能性があるかもしれない直腸の付近のリンパ節を確か26個だったか、取ってもらっている。その時言われたことも覚えている。

 

「目に見えるがんはないけれど、目に見えない細胞レベルのがんが残っているかどうかは、わからない」

 

まさに、これなんだよね。

目に見えない細胞レベルのがんが、直腸から血流に乗って、肺にやってきて住み着いた。直腸がんは、肝臓と肺に転移しやすいというのも知っていたから、まぁ、なぜか私の場合は肝臓ではなく肺が気に入られたのかなぁ。肝臓はなぜか大丈夫だったのでね。

 

先生とのやり取りは約14分に及んだ。5分でサクッと、笑顔で、という私のシナリオは完全に崩れた。

 

私は自分の記者気質のおかげで、この場ではそんなにショックという感じではなかったけど、「転移」というパワーワードは、それからじわじわと効いてきた…。

 

いや、まだ、肺転移と決まったわけではない。決まるのは3か月後なのだから。

 

でもでも。私は怪しい影を肺に抱えているのだ。心中おだやかではいられない。

 

この日の帰り道は、さすがに足取りが重かった。

頭の中には「どうしようどうしよう」がぐるぐるとしていた。

 

病院のあと、日本橋で行われた青少年向けオリンピックプレコンサートというイベントに次男と待ち合わせて鑑賞してきて、それはとても素晴らしかったし(平原綾香さんの生歌を聞けたのだ♪)、帰り道の夜空はとても美しかったのだけれど…

 

私の心は晴れた夜空とはかけ離れていた。