夏の入院日記(1回目の大腸がん切除手術編)

入院3日目:手術前日。母と会い、家族と会い、あれこれ想う長い一日

2018年8月19日(日)入院前日

 

入院生活3日目。今朝も目覚めたら6時半だった。あまり眠れてないけど、まあすっきり起きられた。検温は36.3度、血圧は118の71で普通。

 

今日は何も食べてはいけない。絶食である。

8時過ぎにマグコロールの濃いめを200cc飲み、その後、じわじわと水様便が来た。

 

9時過ぎに剃毛。処置室に呼ばれ、胸の下などをチェックされ、胸毛はないのでそこはスルー。ビキニ下とおしりをそっておしまい。このくらいの剃り具合でいいんですか?という程度であった。出産のときのほうがもっとハードに剃られたような記憶がある。このくらいなら、ブラジル時代にビキニを着るために剃るくらいのものである。余裕だ。

 

あとは部屋で嵐のワイルドアットハートの動画を見たりした。なぜ嵐か。それは、昨夜眠りにつきながら頭の中にぐるぐる回っていた言葉が「人生一度きり」だったから。嵐の曲で、

 

♫一度きりの人生転ばぬように 笑って泣いて生きていこうぜベイベー♫ 

 


ワイルド アット ハート(通常盤)
 

 

という出だしで始まる、いとうあさこが完コピして踊ってた曲がある。曲名はワイルドアットハート。その曲が頭の中から離れなかったから。ブラジルから帰国してすぐのころ、なぜか嵐にハマった長男がよく歌っていた曲でもある。一度きりの人生、そうなんだよ。思わず歌詞をかみしめる。

 

そして今日、院内テレビカードをついに買った。

各ベッドにはテレビがあるが、差額ベッド代なしの通路側のわたしのエリアは、テレビカードを1000円で買って挿入しないと映らない。テレビはそもそも普段から見ないから別にいや、と思ったんだけど、院内ビデオが非常に興味深くって。それをどうしても見たくなって、テレビカードを買った。

 

で、ビデオがとてもわかりやすくて素晴らしい!充実のラインナップである。「入院にあたって」「転倒防止予防」「床ずれ予防」「全身麻酔手術を受ける方に」というあたりが特に勉強になった。看護師さんに、これはすごくいいビデオですね!というと、見てくださる方少ないんですよ…熱心に見ていただいて嬉しいです、と言われたよ。もったいないなぁ、もっと皆さんに積極的に見せないと。せっかく入院中は時間たっぷりあるんだし!転倒防止も床ずれも、私には関係ないでしょ、と思ってたけどそんなこと全然なくて。手術後は、きわめて慎重に過ごさなければならなさそうだ。ということがビデオでわかったのである。

 

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そういえば朝、給茶機のちかくで少し体操をしていたら、朝食用のお茶を汲みに来た看護師さんがいたので話をした。ここはいつも満床ですか、ときくと、お勤めの方は夏休みを利用して手術される方が多い印象ですねぇ、とのこと。年末年始も病院はあいてるけど、手術はさすがに12月27日くらいまでかな、と。全国から先生が集まるんですよね?と聞くと、研修で来られてる地方の先生も多いんだそう。看護師さんも倍率激しいんですか?と聞くと、いやそうでもないですよ、書類出して面接して…って普通ですよと。ここのみなさんはとても感じがよくて素敵ですね!という話をしたら、その話に参加してきたおばあさんがいた。おばあさんいわく、感じがいいだけではなくて対応がいい、腕がいい、細かいところを見てくれる!とのこと。かなり有明に惚れ込んでいらっしゃる様子。

 

さて、そのおばあさんがまた壮絶であった。何度も入退院を繰り返している。最初は去年の7月、元気だったけど何かの検査でエコーで膵臓にがんが見つかったんだって。糖尿病持ちだったこともあり、いろいろ大変だそう。余命宣告を受けたこともあると。最初、タクシーでワンメーター410円のところで見てもらってたけど、セカンドオピニオンをと思い、手術日がもう決まっていたけれど有明に紹介状を書いてもらって来たんですと。前の病院には言いにくかったけど、紹介状は快く出してくれたんだそうです。そしてこちらに来てからもスムーズなタイミングで進んだのだと。肺血症にもなって死にそうになったこともあるんだって…。体重は30キロも減ったんだって…。どんだけふくよかだったんでしょう…。それにしても今は本当にお元気そうで、何よりである。

 

それにしても昨日から何人もの人から「余命宣告受けてからここにきて良くなった」という話を聞く。ここはすごいのね。そういえば別の患者さんからも、明日手術だという話をすると、「頑張ってね、ここだったら絶対大丈夫よ!」と励まされた。さすがの有明である。そんな風に先輩方から励まされると、とっても心強い。

 

 

午前11時ちょっとまえ。向かいのベッドに新しい入院患者さんがいらした。ご主人をなくして、息子さんが一人いらっしゃるというおばさん。耳が遠いとご自身はおっしゃっている。どこのがんなのかなぁ。まだそこまでの話はしていない。

 

11時、下剤パート2。点眼薬ふうの水薬を水で伸ばして、コップ1杯ほどを飲む。下剤とは言え、2リットルのやつを飲まなくていいのはとても助かる!

 

それからは順調に水様便が出て、いい感じ。夕方まで続いた。

 

12時20分からシャワーを浴びた。ところで、入院前に初めて行った美容室の、あの美容師さんのアドバイスは正解であった。この髪の長さ、とてもまとまりやすい。扱いやすくてよい。もっと短くしなくてよかったのだと、今、納得である。

 

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それから、今日はご飯を食べられないので、そろそろ空腹が厳しくなってくる…

 

3時ごろみんなが来るので、2時くらいからずっとデイルームで過ごしていた。Wifiの調子もいいので、PC持ち込んで。葉加瀬太郎の釣りYoutubeとかを見ながら、ブログを書き上げた。いまの気持ち。今日の私と明日の私が違う心境を書いておいた。FBに連携はしないでおく。親戚も見ているからなぁ。無駄なショックは与えたくないしねぇ。

 

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でもこんな日はそうそう迎えることがないから。手術前日の経験は、一生に一度。と、なってほしいけれども。先のことは誰もわからない。

 

そうこうしているうちに妹夫婦が到着。3時15分ごろだろうか。二人とも元気。バイクで二人乗りできたんだと。仲良しで何よりだ。義弟は、義弟らしい励ましの言葉をくれて、嬉しい。わざわざ会いに来てくれてありがたい。妹のサポートをこれからもよろしくお願いします、と伝えるのを忘れてしまったよ。義弟がいるから我が妹がいる。いいペアなのである。なんか今日は見ていてそんな風に見えた。

 

そして3時半ごろに北海道の母と次男と夫が到着した。母が入ってくると、場がぱっと明るくなる。無事の到着で安心した。母の顔を見て、わたしもゆるんだ。

部屋をちょこっと見せて、1階のタリーズへ降りた。今日のデイルームは大混雑で、満席で、にぎやかだった。どのテーブルにもお見舞いの家族がいっぱい。それにしても私は若いなぁ。私より若そうな人を全然見かけないんですけど…。病棟内若さランキングがあったら、今なら私、ここでは一位取れそうな気がするよ。

 

 

タリーズではみんなでいろいろ話して楽しかった。がんって聞いたときどう思った?とかね。まさかね、ってね。こんな風に話していても、なんだかまだ現実味がないような。ここ有明に母がいる不思議。私がパジャマで。私だけがパジャマでコーヒー飲んでなくて…なんなんだこの様子は。不思議すぎる。こんな世界、あるなんて。まだ見ぬ新しい世界である…。

 

タリーズの閉店は17時のようで、店内の後片付けが始まったので解散することにした。妹夫婦と固く握手をして別れた。夫たちのことも見送って、また一人になった。かといって寂しさはないんだよね。この病院の明るい雰囲気に、そして窓からの眺めに、ずいぶん救われているのかも知れないなぁ。病院の雰囲気大事!

 

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さあ、明日は手術。職場の方からいただいた靖国神社のお守りを握りしめてみる。上司からはラインが入った。「頑張ってね!」とメッセージ。そんな風に気にかけてもらえて私は本当に幸せだ。

 

今回の入院で、家族の結束、チームワーク、土壇場の頑張りとか、いろんなことが実を結んでいる。長男は今朝、サッカーの試合だったけど、後半途中出場し、いいパフォーマンスだったらしい。夫曰く。本人はまぁまぁと言っていたけれど。連日サッカー部の練習で出払っている長男には、もう5日会っていないなぁ。会いたいなぁ。私のいない中でも立派に頑張っていてくれてることは、本当に嬉しい。

 

今日は20時以降はOS-1熱中症予防で良く飲まれる、経口補水液。おいしくない…)しか飲んじゃいけないんですって。もう結構お腹すきすぎて辛いんだけど。次に食べられるのは2日後とか、無理なんですけど~な空腹MAXの夜…。

 

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明日は早起き。今夜は眠れるといいな。眠れないだろうけどな…。

 

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