夏の入院日記(1回目の大腸がん切除手術編)

入院6日目:手術後2日目。良かった、歩けた、食べられた!

2018年8月22日(水)

しんどかった手術翌日を経て。今日は術後2日目。

昨夜は、ついに1粒、眠剤を飲んでみた。夕食後に、眠剤と痛み止めの錠剤の計2粒の薬を、看護師さんがベッドサイドに持ってきてくれる。飲んでもいいし、飲まなくてもいいよ、っていうもの。もともと薬に頼ることはあまり好きではないタイプ。だからこれもどうしたものかと思ったけれど、さすがにね…。夜眠れないのは辛い。もともと寝つきはいいし、よく眠れるタイプだから、こうやって痛みとか体中の不快感によって夜眠れないという状態は、辛いのよ…。よく、夜眠れなくてね…という人がいるけれど、今まで私にはその感覚があまりわからなかった。でも今ならわかるよ。眠れないのって、きついね。これが何日も続いたら、おかしくなっちゃうね。

 

ということで、初めての眠剤。ようするに睡眠薬。うちのじいちゃんは「眠り薬」と呼んでいたけど、1粒飲んだらよく眠れた。熟睡できた、と思う。

 

この日の朝はまだジュースのみ。

点滴で栄養を取っているせいか、丸3日絶食の割にはおなかペコペコでもない。けど、やっぱりそろそろお腹がすくよね…。お昼からはお粥が出されることになっている。待ち遠しすぎる…。

 

まだまだ寝たきりに近い状態。電動ベッドで頭を上げたり足を上げたり高さ調整が出来る、ということを昨夜初めて知り、多少の体位移動をする程度だ。なんとか手を伸ばして、ベッドサイドの引き出しにいれてあったスマホを手に取る。術後初スマホである(笑)そして自撮りしてみる。顔が青白く、生気がなく、しかもむくんでいる…。でも一応、弱々しくも笑ったつもり。わたしは元気よ、のしるしとして、家族や義父母のラインに送信した。

 

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午前中も主治医や若い医師(チームAのメンバー。この病棟にはチームAとBがあり、私はAであった)が回診に来てくれる。おなかの様子を見て、人工肛門の様子を確認して…と。そうだった、わたしのへその隣には、人工肛門が作られたのだったよ!そういえばそうだった、と気づく朝。

 

そしてこの日の午前中、またひとつチューブフリーになった!尿の管を抜いてもらえたのだ。そもそも尿の管が通されていたのは気づかないうちであり、その時は麻酔中だったので痛くもかゆくもなく、その後も感覚は特になかった。そういえばわたし、全然トイレに行かないなぁっていうくらいの(笑)

 

で、抜かれるときの感覚は、ちょっとある。「力抜いてくださいね~」と言われて、息をふーっと吐いたら、もう抜かれていた。特に痛くもかゆくもなくて、良かった。

 

これからは、頑張ってトイレに行かなければならないのね。そっちのほうがちょっと、恐怖。なんせ、昨日は歩けなかったんだから。私、トイレまで行けるのかな…。不安。

 

そしてほどなくして、歩く練習の時が来た。昨日の屈辱から一夜、果たして大丈夫なのか?

 

今日の担当の看護師さん、昨日とはまた違う方がサポートしてくれる。小柄な方、果たして私の身体を支えられるのか?

 

おそるおそるベッドサイドに腰かける。ここまでは上手ですね!とほめられた。こういうささいなほめ言葉も、本当に嬉しいのだよ。なんせわたしは、横になってることしかできないんだから。

 

そして立ち上がってみる。お、昨日とは全然感覚が違う!

めまいもしない、脂汗も出ない、吐き気もないよ!これならいけそうだ。

その場で足踏みし、ふらつかないことを確認。よし、今日は大丈夫だ。

 

そのまま、点滴を連れたまま、看護師さんの付き添いで病棟内を歩いてみることにする。動くとまだイテテ…という感じで切ったところが少し痛むけれど、歩けている自分に感動!

人間、日々、進歩しているのであるよ…。嬉しいよ…。

 

そんなわけで、晴れてひとりでトイレに行くことが出来るようになったのだ。これはすごい進歩なのだ。

そして同時に、尿量測定が始まった。トイレに設置されたわたし専用の計量カップで、尿が1回に付き何cc出たのかを紙に記録する。時間と量を都度、手書きしていく。面倒だけど、尿の量も大切なサインなんだという。

 

さて、お待ちかねのランチタイム。

五分粥1/2量からの再スタートだ。うれしい…。お粥はもとより、おかずがこんなに!!

サーモンのクリーム煮だ。デザートにモモ缶も。嬉しい…。

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ただ、看護師さんからは、控えめに食べるようにとのお達しである。急にたくさん食べると、腸が詰まってしまうという。それはいやだ。だから、控えめにする。食べたいけど、我慢する。

 

かくして、丸3日ぶりに食べ物を口にした。一口一口、ゆっくりと。かみしめるように、すこーしずつ、身体に食べ物を通していく。五分粥とは、ほとんどドロドロのお粥である。でも、お米の味がしみじみと美味しいなぁ。

 

味わう一方で、食べる怖さもある。食べることで、排泄物も変わっていく。それはわたしにとって、未知の世界だ。そもそも、お通じを人工肛門から出すということ自体、未知の世界なのだが。

 

いまのところ水分しかとっていなかったし、どうやらいつの間にか袋にたまったものを看護師さんが処理してくれていたようなので、ほぼ、排泄の実感はない。けれど、これからものを食べるとなると、それなりに出てくるわけで…。どういう感じなんだろう。未知の世界に対する不安がすこしだけ湧いてくる。だから手放しには食べられないのだ。食べること、それ自体がリハビリという感じもあり。腸の機能をまた元に戻すための、まさにリハビリなのだ。食べることが。

 

食べると元気がわいてきて。昨日までのほぼ無気力なわたしとはもう決別だ。なんせ、歩けるようになったしね。午後また訪ねてくれた母と次男と、埼玉の妹と一緒に、1階のタリーズまで行ってみた。すごいよね、昨日まで寝たきりだったのに、もうこんなに移動が出来る!

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嬉しくて、そしてまた撮影役の次男の一言がおかしかったのか、母娘3人で大笑いしている。こんなに元気になれた自分に一安心だよ。本当に良かった。

 

みんなを見送り、部屋に戻ると夕食が届いていた。今度は鶏肉だ。肉は久しぶりだ~

ペロリと平らげたいくらい美味しいけど、ここは我慢の子。半分の量をキープするのだ。それにしても、この量ぜんぶ食べても207kcalって…。これ続けたら、間違いなくやせるわー。

 

久しぶりに空を映したくなって、窓辺に移動した。ん?今宵はスーパームーン

大きな満月を映した。

 

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こうして一日一日過ぎてゆく。そして一日一日、わたしは元気になる。

 

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