がんのリスクと予防

免疫力によるガンの根治~エンジン01in釧路の講座聴講レポート~

2018年11月2~4日

 

手術後初の、飛行機旅行で釧路へ!

「エンジン01in釧路」に行ってきました。

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この不思議な名前のそれは、北海道の釧路市で開催された、著名人(文化人)150人が大集合!の「学びイベント」で、主催は作家の林真理子さんが今年度の幹事長を務める「エンジン01文化戦略会議」です。と言ってもまだわかりにくいんですけど(苦笑)、公的な説明によると、「文化、芸術、スポーツから経済など、各分野の第一線で活躍する表現者・思考者たちが日本文化のさらなる深まりと広がりを目的に参集したボランティア集団」というのがこの会議なんだそうです。

 

メンバーは相当すごいです。気になる方はぜひリンク先を見てみてくださいな。ここには書ききれないから。なんたって150人!ちなみに私は奥田瑛二さんと一緒にお食事しました。はい、著名人の方々と、そんな身近に交流することも出来ちゃうすごいイベントなんですよ。

 

毎年場所を変え、全国各地でもう何回も開催されていて、今年は北海道命名150周年にちなんで、釧路を舞台に11月2日~4日まで、ちょうど文化の日を挟んで開かれました。

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そのためにわざわざ釧路へ。行っちゃったんです、わたし。

なんせ自他ともに認める「学び好き」ですから、こんなすんばらしい機会を逃すわけにはいきません…もろもろ調整し、念願の釧路ひとりたび。実現させていただきました。

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具体的なイベントの中身ですが、釧路公立大学にて、1コマ75分間の授業が1時間目~4時間目、各18コマずつ設けられます。テーマは実にさまざまで、違う著名人が3~4名ずつ講師となって講義が行われます。合計72コマの中から、最大4つの講座を選ぶことが出来るわけで。まさに学生気分で、1時間目は何をとろう、2時間目はどうしよう…と履修科目を事前に選んでチケットを買う。1講座なんとワンコイン500円!さすがボランティア集団…
通常ならおそらく講演一つ頼んだら10万円は下らない先生方ばかりなのに、なんて太っ腹なんでしょう。もう、このあたりからワクワクが止まらないわけです!

 

前置きが長くなりましたが、わたしが悩みに悩んで選んだ4講座のうちの一つ、4時間目に受けた「免疫力によるガンの根治」についてここではレポートします。当ブログとは密接に関連する内容なのでね。長いけどお付き合いください。

 

講師

◆西川伸一さん:医師、科学者。ノーベル賞をとった本庶佑先生と一緒に活動していらしたという、免疫の専門家。5年前に公職を辞し、現在はNPO法人AASJ代表理事

秋尾 沙戸子 (あきお さとこ)さん:ノンフィクションライター、キャスター、コメンテイター

栗原 裕基さん:東大教授(循環器病学、発生生物学

下村満子さん:ジャーナリスト

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さてお話は終始、西川先生のリードで進みます。なんせ、がんの免疫療法といえばノーベル賞!というまさにタイムリーな話題。この講座自体は、ノーベル賞受賞のずっと前から企画されていたそうで、急きょ、内容をノーベル賞寄りに準備したとのこと。

 

西川先生は、「今日は本庶佑先生に成り代わって、皆さんの疑問にお答えします」というスタンスでした。お二人とも京大の免疫学ご専門なので、実際、かなり近いところで研究活動をされていて親しいんだそうです。

ということで、Q&A方式でまとめます。前半はほとんど専門的な話でして…

 

Q.どうしてがん細胞だけ免疫ができるの?

A.がんという病気では、驚くべき数の細胞の突然変異が起こっていることがわかった。

がんは、正常と違う細胞を持っていて、それががんを誘発している。その「正常と違う細胞」を免疫でやっつける、というしくみ。

 

Q.効くがんと効かないがんがある?

A.がんによって突然変異の多い少ないはある。肺がんが特に多くて、しかも、肺がんでタバコを吸う人は吸わない人の100倍くらい突然変異が多い。

 

乳がんは突然変異が少ない。

 

免疫療法は、突然変異に対して効くので、突然変異が多ければ多いほど効く。つまり、乳がんには効きにくく、肺がんで喫煙者にはよく効く。

 

しかし人によっても、突然変異が多い人・少ない人がいる。

 

リンパ球に入っていないがんには、免疫が効かないことが最近分かった。リンパ球の浸潤があるかどうかで、免疫療法が効くかどうかがある程度わかる。

 

Q.乳がんのステージ4での再発には効くか?

A.なかなか難しいが、アメリカでTIL治療(がんからキラー細胞を取り出して、体外で増やして戻す)の実例がある。

 

Q.免疫療法の副作用は?

A.免疫も強すぎると、副作用が出る。がんにたいしてだけでなく、自己免疫疾患(心筋炎など)も起こりやすい。

免疫には、自然免疫と特異的免疫がある。生まれつき備わった「自然免疫」をうまく高めればいい。

オプジーボでの副作用は今も問題になっている。今まで経験していないことが起きている。

 

このあたりから、女性陣からの、ぐっと身近な感じの質問が入ります。

 

Q.免疫療法は、抗がん剤のように攻撃的でなく、体を痛めつけないやり方だ!という、今までとは違う発想がすごいと思った。が、お高い!(下村さん)

 

A.アメリカでは、CAR-T治療というのをノバルティスが5000万円でやっているが、効く人と効かない人がいるので、効いた人からだけお金をもらうようにしている。

 

Q.これだけ医学が発達しているのに、病気やがんが増えているのはなぜ?

現代社会はストレス過多や電磁波の問題、24時間スマホが通じるなど、一日の密度がものすごく濃い。文明が発達していい面もあるけど、文明化で難病も増えていると感じる。(下村さん)

 

A.人間の歴史を見ると、飢餓の時代がずっと続いていた。それにより、人間の身体は脂肪を蓄えるシステムになった。ところが今はむしろ過食の時代。それが、病気をつくることになったと言える(栗原先生)。

 

Q.最近の病気の原因は、食品添加物など、化学的物質によるところと、ストレスや心の状態によるところがある。人間は心と体の健康が一体となっている。心のバランスをとっていると思っていても、それでもガンになる。予防はできないもの?

 

A.予防の話をすると、我々はToo Lateだ。(えーーーー!そんなこと言わないで先生!:カロリーナ心の声)

 

もちろん、タバコはダメ、食べすぎ、肥満もよくない。

タバコを50年間吸い続けていた人が、いまタバコをやめても、がんには効く!(西川先生)

 

逆に、予防と称して、これが効く、これがいい!とあおる人がいる。そのほうが危険。すごくインテリな人でも、サプリの誤った使用で劇症肝炎を起こすこともある。情報をきちんと見極めることが非常に重要。

 

生活習慣を見直すことも大切。睡眠不足は免疫力を下げる。現代を生きる我々には難しいが、睡眠は十分とるべき。

 

誰しも1日300~500個のがん細胞が出来ている。それを、自分の免疫が殺している。そのサイクルをキープすることで、がんの発症を防ぐこと。(栗原先生)

 

皆さんが正しい情報を選別できる仕組みをいかに作るか。患者と読書会、というのを開いてYoutubeでも公開している。医師と患者が病気関連の難しい文献を一緒に読み、わかりやすく解説する会だそう。

確かに西川先生のNPOでは、関連動画がいくつも紹介されていました。

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レポートは以上となります。

私も、がん関連のブログをやっている一人のがんサバイバーブロガーであることを、皆さんの前で公表しました。と言っても一瞬の挨拶だったので、え、誰それ?状態でしかなかったのですが(苦笑)

 

それでも、がんになっても元気に釧路まで来て、講座に出て、学んでる人もいるんだよー!ということは伝わったのではないかと思います。

聴講生の中には、きっとがんサバイバーの方もいらしたでしょうし、医療関係者、家族ががんの方もいらしたと思います。がんになってても、なってなくても、がんを知り、がんを考えることは、今の時代とっても大事だと思ってます。だって、二人に一人ががんですもの。

 

このレポートを読んだ方が、学びの一つとして生かしていただければ。ブロガー冥利に尽きます♪

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